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海月屋・辻正仁『短めでお願いします』

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曲を書く事と猫を撫でる事




で、曲がやって来たのでまたもう少し近づいてくるまで、釣糸を垂らしている状態である。

大体傾向として、分かりやすく紹介するために非常に適当な数字を使うけど、例えば5曲書いたとする。これは何れもわりとロジカルに構築したアイディアとか、思考に基づいて作ってたりする。
要するに「こういうリズムのこういう展開をもつ楽曲で、コード進行はこうで、そこにこういうシーンでのこうした気持ちを描こう」みたいなね。
「サザン・ソウル風味で開き直ったような態度を楽しく聴かせよう」が一曲と、次に「マイナーコードで入って雨の情景の中で過去を振り返ってるミディアムテンポのポップス」を書いて、では三曲目は「メジャーセブンのコードをメインにしてメロウな仕上がりになるような全体像で、一ヶ所だけオルタナ系のテイストを盛り込んでフックにしよう」とかね・・・。そんな調子で発想の引き出しをひっくり返しながら、まさに自発的に曲をひねり出して5曲くらいを連日考えては書く。
一応長年やってるんで、曲としての体裁が整ったものは出来上がるし、上手く行けば一曲くらいは、自分で色々考えた事がきちんとした手応えを持って仕上がるものに出会える。

でも、大抵はボツにするね。なんと言っても、それは自分にとってどの部分も把握しちゃっていて、歌う時には新鮮な気持ちなんか込められないのだ。歌う時には既に「前に考えた事」から動かしようのない代物なので、自分の中では書き上げた時点でカタのついてしまった作業なもんで。

で、それでも僕はこのある意味無駄な作業を長年やっている。
何故かというと、この作業を繰り返しているうちに、自発的じゃない場所からボャ~と自分にとって興味を惹かれる曲のイメージがやってくるからだ。
それがやってくると慌てて仕上げるような事はしない。ただイメージがもう少し、もう少しと近づいて段々鮮明になってくるのを待ちながら、あるいはちょっとその方向に体をずらしながら手を付けずにでもずーっと気配だけを転がし続けておくのです。

そのうちにボンヤリしてたものの輪郭や色合いや、ある部分の形が分かってきて、ある程度捕まえられる状態になってからそれを明確な姿にするために、その前にボツにした5曲のアイディアからとか、それ以前のボツ曲のアイディアやそれらを書いて取得したスキルから使えるものを使って仕上げる。

そうすると、自分の思考でひねり出した曲よりも全然シンプルだけど、自分にとってその時点では終わらない曲になる。

ある曲は思い付いたとたんに出来上がったし、別のある曲には数年かかっている。多分聴いても判断できないだろう。
ま、僕が曲をどうしたいってより、曲がどうなりたいのかを教えてくれて、それを叶えてやる為に自分を提供する方が長持ちする曲になるって事です。

で、昨日やって来た曲は何度もトライしてるけど仕上げのタイミング間違ったり、自発的になりすぎてこれまで上手くいってない奴なんだな。しばらく姿をくらましては、また遠くの方から姿を出すのを繰り返している。

今度こそ焦らずに、もっと近付いてくるのを待ってやる。まぁ、例えば人見知りの猫と仲良くなるために、ただじっとしていて膝に乗ってくるまで待って、その後で喉を撫でてやってゴロゴロ言ってもらおうって事です。
今まで何度か自分で捕まえに行って逃げられてるからね。
僕のやる事は、膝に乗った時に、気持ちよくなるように撫でてやるだけなんだな。



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