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海月屋・辻正仁『短めでお願いします』

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BEATLES FOR SALE(by THE BEATLES)





さて、結構話題になっているお話。

宇多田ヒカルが現在在籍しているEMIからベストアルバムを発売するんだが、その発売日に彼女が海外マーケットをターゲットにして『utada』名義で契約していたユニバーサルでも、自社で原盤を持っている彼女の音源でベストアルバムを発売するって事になって、本人自らそっちは買わないで欲しいという、不買運動を始めております。売れれば自分にも印税が入ってくるにも拘わらずだ。

要は、自分の意思にそぐわない作品集、気持ちの入っていない商品をファンに届けたくないという事なんでしょう。

詳細は本人の言葉で確認して下さいな。
http://www.u3music.com/message/index.php?m=1&l=JP

ま、コレね、ユニバーサルだけがどうこうって話じゃなくて、ずーっとあるんですよ。少しタイミングは違うけど、人気アーティストが移籍して最初のアルバム出すタイミングで、前の会社がベスト出すとか。

はっきり覚えてるのは、オフコースが移籍して第1弾アルバムを発売した時に、古巣で、今宇多田さんが在籍しているEMIがベスト出したんだよね。
後に小田和正が『世話になったんだし、自分達の活動との兼ね合いを見ながら建設的に関係を保ちたかったのにアレはないよな』的な事を言ってた記憶がある。
確かチャゲアスは移籍後も勝手に編集盤を出せない契約をしてた気がする。

そういう意味では佐野元春は古巣からの音源リリースも自らの監修の上で行っていて、ビジネス上で良好な関係を保っていると言えるだろうね。

で、話が散らかるんで、宇多田さんの話に戻すとして、今回ユニバーサルのやっている事って、契約上も法律上も何ら問題はないのだ。自社で権利を持っている音源を一番利益の上がりそうなタイミングで出すのである。
『現在の会社からベストが出る機会に、こちらの音源もさらに多くの人に紹介したい』
という見解もアリだとは思う。

でも、作った本人にとって不本意だってところは尊重されてもいいのではないかと思う。創作物を取り扱う会社のモラルとして。あるいは誇りとして。

創作者が作った作品を取り扱って、それを求める人に提供する事で商売するのがレコード会社だと思うのだ。そこには大袈裟に言えば「心」というものが介在していなければいけないと思う。
今時そんな事言ってたら商売にならないと言われそうだが、であれば音楽の商売の仕方がどこかおかしいのだと思う。

自分達が何を誰に対して提供するか?
自分達が扱うものの特性と世間の現状はどういうものか認識してそれに見合った商売をする。

そこが商売の根本でしょうよ。
今まではレコード会社が製作費を出す代わりに原盤権を持って、発売に関する権利を有していた。
そこには、会社と創作者の信頼関係もあったと思う。だからそれで成り立ってたんだと思う。
何でもいいから今利益が上がればいいというのでは、やがては作り手からも受け手からも信頼されなくなるし、受け手はそんな商品は消耗品としてしか扱わなくなる。
現在、素人でも音源製作して、ネットで世界中に配信できる時代だ。
原盤権を自分で持つアーティストも増えてきたし、日本でも大物と言われるアーティストが独立レーベルを立ち上げるケースが増えてきた。
原盤はアーティストが持ち、印税は折半という契約条件のインディーズレーベルも生まれている。

こういう所のスタッフは、好きなものを情熱を持って扱っているから、とても熱心に仕事していたりする。
つまり、メジャーの会社が段々必要とされなくなるんじゃないかと思う。このままだとね。

だって、売れりゃあ何でもいい。とにかく利潤追求だって事で、作る人のキャリアに配慮しなかったり、購入者に誠意のない事やってりゃ、先がないのは明白じゃん。

今、CDが売れなくなったって騒いでるけど、色んな理由の一因にはそーゆー事もあるんだと思うよ。

音楽業界の危機とかね。それは業界が危機なんであって、音楽が危機とは思えないんだな。

この世に商売という概念が生まれる遥か以前から音楽は存在していた。
多分、音楽が商売で扱われてる期間のほうが短いと思う。
そうしたものでどう商売するのがまっとうかってのは、まだ分かってないのかもしれないね。

あ、宇多田さんのブログ読んで思い出したんだけど、ビートルズは自分達が絶大な権限を持った時期には、爆発的にヒットしているシングル(殆ど全部だな)でも、アルバムには収録しなかった。その理由の一つに『小遣いをやりくりして買ってくれるファンに同じ曲の入ったレコードを買わせたくない』ってのがあったらしい。
40年も前に解散した彼らの音楽は未だに愛され、新しいファンを獲得している。
長い目で見れば、こういうやり方のほうが誰にとっても実りがある商売なんじゃないかな?




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