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海月屋・辻正仁『短めでお願いします』

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デビット•リンチと村上春樹の季節

今からもう30年ほど前。
『ツイン・ピークス』というアメリカの連続ドラマにハマっていた。
もうハマったなんてもんじゃなかった。

その後は『ER』や『24』に受け継がれるアメリカドラマの人気の先駆けとも言える番組である。
『プリズンブレイク』『LOST』『Xファイル』など、あげればキリがないだろう。

『ツイン・ピークス』を創作したのは、カルト映画の代表的な監督であるデヴィット・リンチと、TVドラマの制作者マーク・フロスト。


と、この後結構な長文で、どういうドラマだったかとか、自分がどんだけ入れ込んでたのかとか書いてたんだけど、一向に話が進まないので全部消去した。

一言で言えば、オレはもちろん好きだったし、当時アメリカでは社会現象とまで言われるほど人気を博していたんだが、今考えるとよくこんなワケのわからない話があんだけ人気になってたよなと思う。
まぁ、案の定、最終的には視聴率が落ちて打ち切りになったんだけど。

でも、そもそもデビット・リンチってコレに限らずワケわかんない作品の人だからね。

でも、オレのように引き込まれた人たちも多かったわけで、その後、ドラマの前日譚が映画化されて(やっぱりワケわかんなくて酷評されてたが)、デビット・ボウイなんかも出演してたけど、おそらく彼もハマった一人だったんだろう。


でね、その『ツイン・ピークス』の続編が5年くらい前に製作されたのよ。
当初から全18回ってことで、アメリカのケーブルテレビで放映されたと。その直後に日本ではwowwowが放送したんじゃなかったかな?

これね、当然興味はそそられたのだけれど、そもそもwowwowに加入してないし、またあんなにハマるってこと自体に自分の気持ちが動かなかったんで、最初から観ようって気になってなかったのです。

それがふと、今自分が観てるサブスクの配信サイトに入ってるのを見かけまして。

なんだろう? ちょっとした気分で「観てみようかな」って思って、そしたらさもう最初のシリーズ見てたのなんて30年近く前なわけだし、複雑な進行の話だし、それ見返さないと楽しめないだろうなと思ってね。全部観れるのよそのサイトで。
全部観ちゃったよ。映画も含めて。

相変わらずワケわかんなかったよ。
大体の概要とかは覚えてたけど、細かいところまったく忘れ去ってて、結構新鮮な気持ちで観れた。中には、記憶と違うことがあったりとかさ、記憶してたシーンがどこにも出てこなかったりさ(笑)。オレは何を観てたんだ?

でもね、歳食ったからなのか、その間にいろんな知識が備わったからなのか、あるいは「理屈ではない理解の仕方」ってものの訓練ができてたのか知らんけど、若い頃に観てたのよりも明確に理解できることが多かったのに驚いた。
もうあからさまに「あぁ、そういう事か」ってのもあるんだけど、説明はできない(おそらくリンチ本人もだろう)けど、自分ではわかるよってところが多かった気がする。若い頃はその空気が好きだったんだけど、今はそんなムード的な話じゃなくてもうちょっと精神的なアレとしてリアルに感じるって言うのかな。

で、新作。
どうやら、最初から全18話って事で最初から全部脚本決まっていて、撮り終えてから放送したらしい。
TVドラマって大体は視聴者の反応とか視聴率の動向を伺いながらストーリー修正したりして撮ると思うんだけど、そうではなくて、そしてさらに全編をデビット・リンチ本人が監督しているんだって。これも連続ドラマとしては珍しいけど、観て思ったよね。「これ、18時間近い長い映画なんだ」って。

でね、前作に輪をかけてワケがわからん。あと、前作の続きだからさ、登場人物がやたらとおっさんとおばさんとじいさんなんだ(笑)。もちろん若い人も(前作の登場人物の子供とか)出てくるけど。

観ながら思ってたのは、デビット・リンチってこのドラマ大好きなんだろうなって。本人も登場人物の一人で、前作にもチラチラ出てたんだけど、今回はメイン張る勢いだ。もう好きすぎてこの世界の中に入っていたかったんだろうな。
あと、主演のカイル・マクラクランがね、コレ撮影してて楽しかっただろうな。あんまり言うとアレなんだけど、一つの役柄なんだけど、それが何人もに分裂してる状態なんで、キャラクターとしては3役(ワタクシの解釈だと、4役)分を演じ分けることになるんだよね。それもお見事でした。なんせ、冷徹で残忍なのと、ほとんど白痴状態のキャラだったりするし。役者として大変だろうけど面白かったろうなって。

それで、ワケのわからん話だわ、舞台があっち行ったりこっち行ったりするは、いろんな人は出てくるは、さらに時系列を意図的にぐちゃぐちゃにしてるわ(連続するシーンでカットを変えると周辺にいる人が違ってたりとか、話の前後が入れ替わってるか割愛された事柄が後から出てくる場面があったりする)ので頭の中はグチャグチャになる。

そんでリンチ独特の「辺な間」がね、普通のドラマや映画だと省略するようなカットを執拗に尺を取って映してたりとか、おっさんが無言でいるシーンをゆっくり映してるとか。前作でもあったんだ。変なじいちゃんが行ったり来たりしてるだけとか。普通なら間延びしてダレるし、話の展開から言ってもテンポ感から言ってもいらないはずなのに、リンチの作品って、それが気持ち悪くて面白いから不思議だ。なんか笑っちゃうんだよな。
こういう変な間を詰めていけば、15話くらいになったんじゃないかと思うけど、でもコレが大事なんだよね。矛盾する言い方だけど「必要があるからやってる不必要な間や場面」なだってのがわかる。

そんで、グロさも増していて、ケーブルテレビとは言え、よく今時こんなのを放送できたなと。

でね、30年前のシリーズもそうだけど、登場人物のいろんな動きがあって、それがなぜそうなってるかとか、結局どうなったのかとか全然なしで放っておかれてることが多いんだけど、今回もそうでした。
そういうのも全然説明ないのね。やりっぱなし。
だから、全部がすっきり説明されて、一応は決着のあるところまでないと嫌な方にはおすすめしないです。

しかもね、これ話としては一応17話で落とし前はついてるんだ。話の枝葉みないのは置き去りでも、主軸の話は。
でね、18話目ってそこが一個片付いた後に次の話になって、さぁ始まるぞってとこで終わってるんだ(笑)。
元々前18話で脚本仕上げてから作ったって言うんだから、最初からそうするつもりだったんだよね?

これ、観終えてから調べてみたら、放送直後も、ファンの間で大騒ぎになってたらしい。
だってそもそも謎を残したまま終わったドラマの続編で、いろんなことの決着すると思ってたら、総じて言えば全部放り投げて終わったんだもの。
すげぇなデビット・リンチ。

でね、この物語というか、全部観てるわけではないけどリンチの作品にある世界観というか、世界とか人間の認識の仕方って、村上春樹とすごく共鳴してると思うんだよね。

そういえば、『ねじまき鳥クロニクル』の頃だったかに、なんかの記事で春樹が『ツイン・ピークス』にハマってるって読んだ気がするし。ま、本人が言ってたのかどうかは知らんけど。

で、春樹作品は海外でも出版されて人気あるんだから、リンチが読んでいてもおかしくないだろうしさ。

なんかお互い同じようなものを持っていて、お互いの作品でそれを補強したり、刺激されたり、共鳴したりってことがあってもおかしくないよなとは思う。

個人的には「ワケのわからなさの質」が似た感触だし、それが好きだったりするしね。
さっきも書いたけど、ロジックで説明できないけど、なんか自分も認識できない部分で理解できてるような感触ってのかな?

もうね、今回、コレが書きたかっただけなの。
「デビット・リンチと村上春樹が似てる気がする」ってそれだけ。

で、オレはどっちも久しぶりに作品に触れたんだよね。なんか自分的にそういう季節なのかな?

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〜今後のライブ予定〜

※いずれもご予約は【contact】をご利用ください(入場者数に制限がありますので、お早めに。)→https://www.kurageya.net/contact



5.21(日)
【Voice&Rythme vol.51】
場所: スタジオソリッドホール
(札幌市東区北33条東17丁目4−19)
OPEN 11:45
START 12:00
料金:1000円
出演:VoicWorksSapporoの皆さんほか



5.23(火)
【UNIONFIELD LIVE+】
場所:UNIONFIELD
(札幌市中央区南7条西4丁目LC七番館5F)
OPEN/18:30
START/19:00
料金:2500 円(+1D¥500~)
出演:山上大介 / code / きむらえみ / 佐藤圭太 / 辻正仁

※YouTubeチャンネル生配信
https://www.youtube.com/c/unionfield
※お気持ちPay
https://union.buyshop.jp/categories/3048264
・お気持ちPayは50%を出演者へ、50%はUNIONFIELDの配信や音響照明の機材費等に充てさせて頂きます。
5_22UNION.jpg



6.4(日)
​【東日本大震災チャリティーライブ・500L Vol.38】
場所:円山夜想(札幌市中央区南1条西24丁目 ヴィンテージビル地下)
OPEN 17:00
START 17:30
入場無料(振る舞い酒あり)
出演: kenzzzi(前説)/ Thank you sun scene / あまつぶドロップ / 辻正仁
500L Vol39



6.22(木)
【フライアーパーク25周年月間!】
場所:フライアーパーク
(札幌市豊平区平岸4条7丁目) 
OPEN 20:00
START 20:30
料金:2000円(1ドリンク付き)
出演:コイズミサトシ / よりみち / 辻正仁
25周年
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