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海月屋・辻の日々

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It was twenty years ago today (『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』by THE BEATLES)〜フライアーパーク20周年の個人的なアレコレ〜



※言っとくけど、凄く長い文章だからね。
24日に出演させていただくフライアーパークの20周年記念月間ライブに先駆けて書いてみる。



1998年にフライアーパークがオープンして20年。
交通アクセスが良いとは言えない立地の、小さな店である。
にも関わらず、ここではほぼ連日ライブが行われており(店主の意向によりワザワザ苦労してあえてライブを入れない日を設けているくらいだ)、常に数ヶ月先前までスケジュールが埋まっているような状況。
札幌で音楽活動している人ならこの店の名を知らない者はいないのではないだろうか? もし万が一知らない者がいれば、その人は周囲から「モグリだ」と思われるだろう。
いつの間にか札幌のみならず、道内各地、また道外からもここでの演奏を希望する音楽人が大勢いる。道外でフライアーパークという名前を出しても「あぁ」と話が通じたりすることもある。
今やそんな存在になった。

20年前、開店当初は店の片隅に小さなステージがあり、ギターが置かれていた。
数冊の歌本なども常備されており、会社帰りのサラリーマンなどが立ち寄って、かつて夢中になってたであろうギターを手に取り歌本を広げながら思い出の曲を歌っている風景が見られた。今のように現役でオリジナルを演奏する音楽人がステージを行う方が稀であったと記憶している。

それが20年経った今では、特にアコースティック系のシンガーソングライターにとっては「札幌のメッカ」と呼べるくらいの場所になっている。

ここでライブを行う音楽人が増えるにつれ、それを聴きに来る人たちも増えた。
片隅にあったステージは大きくなり、代わりに縦長の店内を占拠していたカウンターは4分の1程度になり、座席のスペースが増えた。

開店から20年。
今ここで演奏を行なっている20代の音楽人にとっては、フライアーパークという店は音楽をやり始めた時から「ライブと言えばこのフライアーパーク」というような『大きな店(店舗面積の話ではない)』として存在しているのだろう。まだキャリアの短い音楽人がフライアーパークのステージに立ち「この店で演奏することが目標でした」と語っているのを聞いた事も少なくない。

小規模なスペースでお酒を飲みながら生演奏を楽しむ、いわば「パブ」スタイル。
ノルマも会場費もなし。ライブにあたって出演者に経済的な負担は一切なく、客側がドリンク代込みのライブチャージを払うだけで音楽を楽しめるという店は、20年前の札幌にはほんの数える程度しかなく、その店構えはなぜかどこも慣れないものにとっては入りにくい空気を醸し出していた。

そんな中で開店したフライアーパークは、既存の店には失礼かもしれないが、清潔感があり落ち着ける空気があり、こういう世界を知らない人たちも入りやすかったように思う。

そして発表の場を探しているものの、バンドならいざ知らず弾き語りで活動しているのに大きな会場を借りるには厳しい賃料が発生するし、会場に見合う集客も困難という者たちにとっては実に利用しやすい場所になった。

要するに「間口が広がった」のだ。

間口が広がればそこで演奏したいと思う者も増えるし、それによって足を運ぶ機会が生まれる者もいる。おそらく、札幌にはフライアーパークで知り合いのライブを聴きに来たことがきっかけで、メジャーではない札幌の音楽人たちに興味を持って、あちこちのライブに出かけるようになった人もいるだろう。

CDが全盛の頃、実はライブスポットの状況はあまり良くはなかった。フライアーパーク開店後もいくつかのパブ形式の場所が登場しては消えて行った。


こういう世界は関わっている90%以上の人は儲けにならないだろう。

つまりは、演者がやることに対する幅広い理解と愛情があって、さらに儲けのためにではなく、音楽が好きであるが故にこうした場所を維持していくための収益を確保する努力が必要になる。そのバランスが大事だ。
「音楽への愛情と経営の根性」がなければ長続きもできないし、支持もされないのだ。

フライアーパークの店主・宗形氏を始め、長年生き残っている店の店主がどんな人柄なのかを見ればよくわかるだろう。

CD全盛期が終わり、音楽作品の入手方法が配信やダウンロードに傾きかけている現在、ライブスポットは徐々に活気を取り戻しつつある。
これは世界的な傾向で、パブが盛んだったイギリスやアイルランドなども一時衰退していたのが、再び店舗が増え始めているらしい。

手軽に安値で音楽が楽しめるようになった分だけ、人は「その時その場でしか味わえないもの」や「生の感触が伝わるもの」に価値を見出しているのではないかと考える。

そこで大事なのは、ライブ演奏というのはもちろんなのだが、その場所にある「音楽を大切にしている空気」だろう。その空気が提供されないなら家で無料ダウンロードしてる音楽を聴いていれば事足りるのだ。


札幌でもここ5年くらいの間にパブ形式の店が随分と増え、どこも連日のように盛んにライブを行っている。
直接的にしろ間接的にしろ、フライアーパークが「20年で広げた間口」の下支えと「20年維持できる」という前例があったことが影響しているに違いない。おそらく新規店舗を始める人たちの中には「フライアーパークのような」という身近で具体的な先例からイメージを膨らませていったケースも多いだろうと思うのだ。

そういう意味では、宗形氏は演者を見守り育て、ローカル音楽の愛好者を増やし、さらにこうしたライブスポット経営者が持つべき「愛情と根性」の理想的な見本となっていると言えるだろう。


ってさ、ここまではちょっとライター気取りでコラムチックに書いてみた。
ここまでが前半です(笑)
本当は、ここで一旦終えて、また別途更新しようかとも思ったんだけど、このままの勢いでアレする。
こっからはフライアーパークとの個人的なお付き合いにおける20周年の思いを

さて…

今から20年前、「ムネちゃんが店出したんだって」という話を会社の同僚から聞いた。

その1年ほど前だったか、同じく会社の同僚であった現フライアーパーク店主、宗形修氏ことムネちゃんが体を壊して入院したという話を聞いていた。
そして、それっきりいつまで経っても退院したという話を聞かないなと思っていたら、いつの間にか飲み屋を始めたというではないか。

どうもギターも置いてあって、歌わせてくれるらしいということで、どんなところか行ってみた。

縦長の決して広いとは言えない店。
でも雰囲気がすごく良かった。
なんだか立派なカウンターがドンと置かれて、テーブルはおそらく特注とおぼしきピアノを模した形でオシャレ。カウンター後ろの棚にはたくさんの酒が並んでいたはずだが、コレは後々次第にムネちゃんのCDコレクションが占有率を増していく。

洋邦問わず、同年代にはたまらない音楽が流れ、天井にはビートルズやらなんやらのポスターが貼られ、中にはレコード店で飾ってた宣伝用の看板もある(笑)。

店の奥の一角が、人が一人乗れるくらいの小さなステージになっており、ギターが置かれている。そしてカウンターの隅に数冊の歌本(「吉田拓郎曲集」とか「浜田省吾作品集」とか)が積まれていた。
僕は「吉田拓郎曲集」をパラパラとめくって、知っている曲を何曲か歌った。もちろん『落陽』ははずせない。

それが僕のフライアーパークでの最初のステージ。
聴いていたのは一緒に行った同僚とムネちゃん。

その日は「今度ライブやらせてよ」ってな口約束をして帰った。

そんな事が何度かあったけかな?

そのうち、時折ムネちゃんから「ライブやりませんか?」ってお誘いをいただくようになった。

店がオープンする前の年に僕はそれまで活動していたバンドが休止状態になり、諸々の状況からバンドはやりたいもののまた新たにメンバーを集めるのもしんどいお年頃になっていた。

それでも音楽はやりたいし、曲は書き上がるのでそれを披露する場所は欲しい。だがいかんせん、一人で弾き語りをやるのに高い金を払って「ベッシーホール」とか借りるのも厳しいし、お客さんだって集められない。

ムネちゃんのお誘いは渡りに船であったのだ。

多くの音楽人が壁に残していくサインのものすごく奥の奥には20年前に僕が書かせてもらったサインが残っている筈だ。


それから2,3年は年に数回、フライアーで歌わせてもらうのが僕の唯一の対外的な音楽活動だった。

当時はまだ携帯電話も普及しておらず、パソコンだってそんなに行き届いていない。というか、僕もムネちゃんも所有していない時代だ。連絡手段といえば自宅の電話なのだが、僕はまずもって常識のある人が電話をかけるような時間帯に家にいたためしがない。

ライブの出演オファーをするためにムネちゃんはわざわざ僕の職場にやって来て依頼してくれていた。
今思えば、他の出演者にも同じような方法でオファーしてたんだろうな。
そうやって少しずつライブスポットとして知られるようにしていったんだろう。

そういうアレがあるからね、申し訳ないんだけど今だに初めての場所からの依頼がメールでの定型文だったりという事務的なお誘いのところは正直、気が進まないんですよ。
やらせてもらう身分で申し訳ないが「意気に感ず」ってのが原動力なもので。古い人間ですんません。

その最初の数年間、たまにフライアーで弾き語りをやるだけであった僕は、まだバンドにこだわっていた。いや、今だにバンドをやりたいとは思ってるんだけどね。
弾き語りで歌っていることに自信がなかったのもある。ライブをやりながら「本当はバンドの人間なんです」みたいな言い訳を必ず挟んでいた。本当は違うんですみたいな。
だったら人前でやるなって今なら言うけどね(笑)。

そんな状況で人前で歌えてたのは、わざわざ職場にやって来て誘ってくれるムネちゃんのおかげだ。アレがなければおそらく、年に数回とはいえ、人前で歌うことなんてなかったはずで、活動にブランクがあったに違いない。

ムネちゃんのブッキングは常に面白い。というかなんとなく、ひとクセふたクセありそうな人と組まされる事が多い。
僕だけではなく、おそらく演者のだれにも細かいこと言ったり良くないところを指摘するなんてことはしないんだけど、その組み合わせの中に「こういう人とやって刺激されてね」みたいなものがあるんだろうなってのは感じる。
あるいは、僕と誰かまだ日の浅い人を組ますことで、その人に何か伝えてる場合もあるのかもしれないし。「あぁはなるなよ」とか(笑)
そして、そういう若い人たちと組ませてもらう時も、やはりコチラに刺激を与えてくれるのね。なんかケツを煽られてるような面白さがあるんだな。

総じてそういうので勉強させてもらっているわけだ。

ムネちゃんはライブを終えても良いとも悪いとも言わない。たまに気に入ってくれた曲があると「アレは名曲ですよ」とか褒めてくれるけど。こちらも特に感想は聞かない。
多分、また次回に呼んでくれるというのが評価だ。呼ばれなくなったらダメなんだろう。


話が逸れたが、そんな数年間があった後に僕も会社を辞めた。で、それからまた自分の音楽活動を活発にやろうと思ったんだけど、その時に現状でできることとして「ちゃんと言い訳なしで弾き語りできなきゃダメだな」って気持ちにようやくなったんだけどね。
いろんな音楽人に協力してもらって音源制作したりしてた中で、なんちゅうの? バンドの名前に隠れないで、自分名義の看板をちゃんと背負えよっていうね。そういうアレがありまして。

その時に、それ以前の数年間のフライアーでの経験がなければ、何もできなかっただろうなと思うのですよ。

んで、そういう心構えになったところで、ムネちゃんに「自分の誕生日にワンマンライブをやらせてもらえないか?」と相談しまして。
快く承諾してくれた。

最初のワンマンライブの時、天候のせいにするのは言い訳なんだが、猛吹雪のせいで(笑)、開始時間になっても誰一人来ない。
いくら待っても誰もこないので、仕方なくそのままスタートした。
後半になって3人くらい来てくれたが、それまではムネちゃん一人に向けて歌うという、やる側も聞く側も「ワンマンライブ」であった(笑)。

今そういう笑い話にできるのは、その翌年、さすがにこちらからは言い出せなかったんだが、何を血迷ったかムネちゃんの方から「今年もワンマンやりましょう!」と連絡してくれたからだ。
それから10数年、誕生日のワンマンライブは毎年欠かさない恒例行事になり、おかげさまで今では形になるくらいのお客様に来ていただけるようになった。

ムネちゃんからの申し出がなかったら、誰もこなかった一回きりで終わっていたことである。
だから、弾き語りをやる自分ってのは、フライアーパークに育ててもらったようなもんなのね。

そういうことをオレ一人にではなく、ここでやる人たちそれぞれにやってるんだと思うのよ。

それを店を潰さずに20年もやってることに頭が下がるし、それができるから20年やってこれたんだろうとも思う。

で、今年の僕のバースデーライブはおおよそ6時間かけて52曲を歌うというバカな企画だったんだけどさ。
これ、よく人から「すごいですね〜」って言ってもらえるんだけど、半年過ぎた今でも初対面の人に「52曲やったんですよね」とか。

でもさ、語弊のある言い方だけど、自分がやりたいって言ってやってる分にはそんなに大したことじゃないのよ。歌うの好きなんだし、自己顕示欲とか承認欲求強いし(笑)。
本当に凄いのは、それを「ウチでやりましょうよ」って言ってのけるムネちゃんだよね。
しかもアノ人、曲数を上乗せして提案して来たからね、どうかしてる(笑)。


そんなフライアーパークの20周年である。
僕は毎年の「開店記念月間ライブ」の最多出演記録保持者である。
今年も更新できるのが光栄です。
死ぬまで更新し続けてやるつもりだ。

ありがとうございます

そんなこんなの思いもあっての20周年。24日のステージで語り始めたらそれだけで持ち時間オーバーするので、ここに書いておくことにした。

ライブはいつも通り、今歌いたい曲を歌う。
ご一緒の二組はいずれもバンドスタイルの模様。実はちょっと誰かサポートに入ってもらって豪勢にやろうかなとも考えたんだが、先に書いた通り自分にとってはフライアーパークは弾き語りの自分を育ててくれた場所である。

なので、やはり弾き語る。

呼ばれなくなったりしないようにしないとな…




6/24(日)
【フライアーパーク開店20周年記念月間ライヴ】
場所:フライアーパーク(札幌市豊平区平岸4条7丁目)
OPEN/18:30~
START/19:00~
料金:¥1800 (1ドリンク付)
出演 : 辻正仁 / 小松大介 / Recall


















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