海月屋・辻の日々

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春樹をめぐる暴言

ちょっと前の話だけど、感想文。

誕生日に「図書カード」なるものをいただきまして。
まぁ、ご存知の方はご存知なのだが、あまり物を所有したがらない人間なので、こういう時に結構換金性の高いものか腹の足しになるものをいただくことが多くて大変ありがたく思っております。

クオカードとか、現金をいただいたりもする。
そして「図書カード」も同じように助かる。

それで村上春樹の新作を購入させていただきました。

長編としては前作の「色彩を持たない〜」以来か。その後に出た短編集は読んでないので(なんだろう? その間に伊坂好太郎にハマってたので、気分の問題で読んでない)、かなり久しぶりの村上春樹。まぁ、昔のを再読したりはあったけど。

んと、まず書いとかなきゃってのは

とても面白かった

という事なんですよ。

そこはもう大前提として。
もともとデビューした時から好きな作家さんなんでこっちに彼のテイストが染み付いてるってのもあるし、そこらの小説よりもやっぱり自分の肌に合ってるなとは思うのよ。だからもう自分基準の「合格ライン」みたいなもんは軽々とクリアしてる。

そこをお間違いのないように。

今回は文体も随分変わったな〜って印象あったし。
面白いから一気に読みきったしね。

詳細はアレなんで省くけど、絵描きさんが主人公なんでね、僭越ながら表現物を創作していく過程の精神状態というか、精神の動きの感覚というのを文章にしてるのがとても良く分かるような気がした。
本筋ではないのかも知れないけど、自分的には『表現する人の話』として捉えていた面もある。

でさ、もちろん話は全然違うものだし、内容が同じではないのも充分わかるのだけど、やっぱりどっか『ねじまき鳥クロニクル』のバージョン違いって印象もあるんだよね〜

これはもう完全に個人的見解であって、評論でもなんでもないんだけど、デビューから書いていったものが一旦『ねじまき鳥クロニクル』にほぼ集約されて、それ以降は今度はバージョンを変えていくつかの作品に展開されていってるような気がするのね。

ちなみに、オレは『ねじまき鳥クロニクル』も好きではあるけど、自分の好きな春樹の長編って聞かれたら
『羊をめぐる冒険』
『ダンス ダンス ダンス』
『海辺のカフカ』
を挙げるかな?

オレにとっては『ねじまき鳥クロニクル』は好き嫌いの話題に上らないくらい、「これが村上春樹です」って感じなのね。

なんちゅうんだろ?

音楽でもあるじゃん。一人のアーティストが書く「そのパターンの曲」みたいの。
歌詞の内容とかテーマも違うし、発表した時代によってアレンジのサウンドとかも違うんだけど「あ、この系統の曲ね」みたいなやつ。

サザンだったら『いとしのエリー』と『真夏の果実』と『TSUNAMI』の系譜ってのかな? 
いや、並べるのは恐縮だけど自分の曲でもあるのよ。「このパターンのオレ」みたいのは。

どっかに共通のニオイが漂う。

んと、作中の舞台装置がさ、形を変えて登場はするんだけど、その装置で「いるかホテル」も「世界の終わり」も「井戸の中」も「四国の山中の森」も全部繋がってるでしょって。
『国境の〜』とか『色彩を持たない〜』とかも、物語上には登場しないけど、その装置が働いてるなって気配をさせてるし、「1Q84」はなんかその装置を作者が意識して排除して別の装置を使おうとしたけど、う〜んって感じだし。

だからコレは難しい注文なんだろうけど、この装置を使わないのに「春樹ワールド」みたいなもんが堪能できるような物語とかさ、あるいはもう「装置」そのものの中で物語が始まって終わっていくってのかな? そういうのをちょっと今後読んでみたい。

まぁ、伊坂さんにも似たような部分あるし、ヴァン・モリソンもいつも同じアルバムだし(笑)
自分がそういうタイプの表現者が好きなのかもね。






 








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