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海月屋・辻正仁『短めでお願いします』

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「ここに住んでやるべき事」についての話

伊坂幸太郎の新作を読んだ。

『火星に住むつもりかい?』

本人がどういうつもりでコレを書いたかは知らない。
多分、どういうつもりで書いたにしても「エンターテインメントのつもりで」と答えるような気がする。

単なる娯楽小説ですよと

まぁ、娯楽小説なんですよ。

娯楽小説として面白い。非常に僕の好み。

でもさ、このご時世にこういう設定を設けている背景ってもんがあるような気がするのね。
コレは僕の勝手な憶測なんで、本人にそのつもりがなければ申し訳ないのですが、単なる一読者の感想として。

数年前に大震災があり、原発問題がクローズアップされて、メディアのあり方もなんだかおかしなことになって(もともとおかしかったとは思うが)、秘密なんとか法がまかり通って、憲法の解釈が云々があって、格差社会になり右傾化に勢いが増し…

というご時世です。

なんだか伊坂さんの「憤り」とか「怒り」みたいなもんとかが物語をドライヴさsているような気がしたのね。

それも権力側だけではなく、「一般大衆」という得体の知れないものにも向けて。

無自覚に風潮を生むことに加担して、そうとは知らずに思考停止のような状態でその風潮に迎合していく「世間」というものがあって、それを都合よく利用する者たちがいて、それに対抗する力を満たない個人が翻弄されていく世の中みたいな…

考えすぎかな?
でも、そんな風に読んでて面白かったです。

エンターテインメントなんだから、世事や時事には触れず、すべてを忘れさせるような楽しい夢を提供するというのも一つの考え方で、それも素敵だなと思う。

もう一つ、世事や時事にもフックしつつ、それを堅苦しく論じるのではなくエンターテインしていくというのもひとつのあり方だよなと思う。

どちらをやるにしたって、自覚的にやっている人の表現はやっぱり力があるよな〜

ちなみに、新作を読んだ勢いで、以前に書店でチラ見して読むのを保留していた伊坂氏の「アイネクライネナハトムジーク」も読んでみた。

こちらも勿論面白かったんだが、『火星に住むつもりかい?』とはまったく性格の違うスタイル。

ネタバラシはいやなので、あんまり深く紹介はしないけれど、興味があればどちらもぜひご一読を。


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