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海月屋・辻正仁『短めでお願いします』

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女が弓を引いた時 男は真実を見つけた(”ふたりの理由” by 佐野元春)

久しぶりに動画配信サイトを開いてみたら『マトリックス レザレクションズ』が配信開始になっており、ちょっとびっくりした。まだ映画館でやってるんじゃないの? もう終了してるの?

人気の映画だと平日のレイトショーとかでも人が結構いるだろうからと思って躊躇してたら家で観れる(ただし画面の大きさが随分違ってるのだが)じゃないか。

という訳で、その話をするのでネタバレもあります。

こっからはそれを承知で読むように。
もしくは、観る予定のある方は、ここで読むのをやめるように。
ストーリーに関することも書くからってのもあるけど、あくまでもワタクシ個人の感想や解釈などがメインになるので、それを前情報として取り込むよりは、ぜひ自身の視点や解釈で楽しんでいただいたほうがよろしいかと。


1作目が公開されたのって、もう20数年前だっけ?
公開当初はあまりにも皆さんが騒ぐので、乗り遅れたというか、乗る気がしなくて、その何年か後にDVDかなんかで観てハマったんだった。それで2作目と3作目は公開直後に観にいったんだが、ハリウッドの続編にあるあるな、舞台装置というか場面のスケールがやたらと大げさになり過ぎて、個人的な趣味としてちょっと観てるのが面倒くさい感じではあったのね。面白いけど。
ただ、別に戦闘シーンの凄さとかを楽しみたい訳ではないもんで。

で、その派手さをかいくぐって話の内容というか骨子を汲み取ってた訳なんだけど(魚の骨を避けながら身を食べるみたいな。それにしては骨がやたらと目立つんだが)、う〜ん、概要というか思想は嫌いではないんだけど、ちょっと複雑な考察(意味付け)の方にベクトルが向いちゃってたのがイマイチ。
多分、作り手の中で続編をやるにあたって、一作目である程度感覚的というか直感的に動かしていた物語世界を深めるにあたって、「考える」って比重が大きくなっちゃったんだと思うのね。そこに映画会社の思惑や要請とか、観客の期待や1作目の反響も影響してるだろうし。

場面の仕掛けは予算も増えただろうし、思いっきり自分らの発想の世界を映像化できるんで大掛かりに派手になっていくし、話の方も考えに考え抜いた挙句、理屈だらけになっちゃうしみたいな。ギリギリで踏みとどまってるけど、破綻の一歩手前まで行ってたから、本人たちが「これで最後」っていってたのは納得してたんだよ。

個人的な解釈では、もうちょっと理路整然としてない部分を映像で分からせるってか、作ってる本人も映像見て初めて語りたかったことが分かる(理屈じゃなくて感覚的に)って感じのものが趣味なんで。
特に『マトリックス』に関しては言語化できる(思考だけで完結させようとする)ものを突き詰めると次第に本来直感的に得ていた世界観から離れていくような内容だと思ってるので。

で、まぁその映画会社の要請もあったり、なんならもう元々作った人間を外してまで作ろうとしてるって噂もあったりしたのが、本人(元々は姉妹で作ったんだけど、その片方が)がちゃんと脚本、監督するっていうから、恐々と興味は持ってたんだよね。一回もうやらないって言ってたものをどうするんだろうって。
期待半分、不安半分みたいな。

あ、ちなみに今までの3作品の頃は監督は生物学的には男性だったけど、今作では心身ともに女性になっております。

で、観た感想。
一言で言えば面白かった。
ただそれは期待してた面白さじゃなかった。
「期待してるほど面白くはなかった」という意味ではない。
想像してない方向で面白かったのだ。
映画会社が本人外してまで話を進めようとしてたものを、本人が引き受けた意味がわかった。
こういうやり方あるんだな〜って、感心したよ。

『マトリックス』って色々と影響力の強い作品だったから、作った本人が意図しない解釈が広まったり、不本意な引用されたりとか色々あったと思うんだけど、そういう作者自身では収拾のつけられなくなったものをさ、もう一度自分の手に取り戻す作業だったんだろうなってのがいちばんの印象。

話の中に、そういう『マトリックス症候群』みたいな現象まで取り込んじゃって、続編を作っちゃったところが『マトリックス』の世界になってるのが気に入っている。現実の中に虚構が入り込んでるんだか、虚構の中に現実がかいま見えるんだかって構造ね。

そんで、革命的だった映像技術はほぼ捨てたのもお見事だった。前3作と同じように新しい映像を提供しようっていう無茶な気負いが一切ない。だから、そういう意味で「期待ハズレ」だった人も多いんじゃないかなと思う。ジェットコースターが楽しかったから次はスプラッシュマウンテンだって感じの期待してた人には。
むしろ、前回までのジェットコースターに乗って喜んでた人たちに「ホラ、こういう仕組みのものをこうすれば魅力的にみえてたよね? それはこの20年でアナタ達が消費したよね?」って念押しして来た(笑)。

以前だったらワイヤー使ってたアクションでも、ちらっと活用してあとは普通に動いてるしね。画質的に明るくなったところが多いのも含め、全部あえてそうしてるんでしょう。

カタルシスを覚える場面もまったくないのは、あえてなのかどうかは分からんけど。

で、これはもう作者の個人的な作品に近いものになったと思う。
そこがオレのまったく期待してなかったけど面白かったところなのね。

監督が『マトリックス3部作』の反響や不本意なものも含む評価を経験して、それを踏まえつつもう一回『マトリックス』を作ったらどうなるかっていうものの、ものすごく誠実な回答がコレなんだと思う。
そういうのは、多分、賛否が大きく分かれるんだろうけど、どうせあんだけの人気作品の続編となると何やったって賛否が分かれるんだから、好きなように作り直せばいいよ。

トリニティのセリフを借りて、作り直すチャンスをもらった事に感謝まで述べちゃってるし。

んで、コレって非常にジェンダーについての主題がクローズアップされております。
それ、前半でトリニティがまだ仮想現実の中に囚われてる時のセリフではっきり明示してるんだけど、それがラストの彼女が飛ぶところに活かされるのね。ってか、残念ながらオレこの展開に途中で気がついちゃった。
途中でネオが「まだ飛べない」ってシーンがあるんだけど(ここ、コントみたいで笑えた)、そこで「あ、コレって最後にトリニティが飛んで助かるんだな」ってふと思ったら、案の定の展開だった。

だから今回はトリニティの覚醒の物語ですな。
最後で今回の悪役がつく悪態が女性蔑視、男性優位の偏見に凝り固まった(どっかの政治家の失言みたいな)内容で「ついでに空を虹色にでもするのか」みたいなセリフがあって、トリニティが「そのアイディア採用しましょう」って。それを聞いたネオが「それはいいね。放っておくとみんなすぐ忘れちゃうから」っていうんだから、ジェンダー問題というか「LGBTがテーマです」って口に出しちゃってるくらいハッキリしてるよね。

最後の最後にいいなと思ったのは、ネオとトリニティが二人で手を繋いで飛んでいくっていうね。これも構成上は「案の定」ではあったんだけど。

作者が意図してたかどうかはしらないけど、『マトリックス』って量子論とかの世界だと「数列」だけど、「曼荼羅」も『マトリックス』っていうんだよね。
だから、内容も含めて第1作観た時から個人的には「コンピュータによる仮想現実ってところに、東洋思想を絡めてるんだろうな」って解釈で観てたし、だから好きだったんだけど、今作でトリニティが『現実のように感じるけど、実際にはそうではない(空である)世界』の景色を見て、そういう世界だと理解して尚且つ「美しい」って呟くのって「ブッダじゃん」って思ったんだけど、この辺はどうなんだろうね?
で、その後でトリニティが飛ぶってのは、「悟り」のメタファーと思えなくもない。

だからこれ、トリニティの話だし、その道をネオとの絆で導かれていく(あるいは「切り開く」かな? どちらも同じ事象を違う視点で解釈するだけだけど)って意味では『ソウルメイト』の話でもあるね。多分、作者は一作目からこのテーマを通奏低音にしてるんだと感じるのだけど、4作目となってある種『輪廻転生』を経てって事にできて、色濃くなった気もする。

でさ、ここまで4作全部観て最終的に「ますます一作目が面白くなった」って気もするんだよね。なので4作目だけでも純粋な評価はできないっす。

いや、全部ワタクシの個人的な解釈なんで、正しいとも思われたくないし、間違ってるとも言われたくないよ(笑)。



これどうなんだろうね? その気になればまだ続編作れるようにしてあるんだけど(スミスの件とか)、やるのかな?
なんかもう充分な気もするんだが、おそらくまた次があるとしても「期待してなかった面白さ」ってものを作るんだろうな。

あ、最後の最後まで観るとね、コレを「面白くなかった」って言いそうな人たちに向けての作者の返答があります(笑)。


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〜今後のライブ予定〜
※いずれもご予約は【contact】をご利用ください→https://www.kurageya.net/contact


2月5日(土)
【円山純情倶楽部・ANNEX】
場所:円山夜想
(札幌市中央区南1条西24丁目ヴィンテージビル地下)
OPEN 18:30
START 19:00
料金:2000円(+ドリンク代500円)
出演:kurosawadaisuke / 辻正仁 / DJエロ店長
2022_02_05純情倶楽部フライヤー





2月23日(水・祝)
【Eriワンマンライブ「カレイドスコープ」】
場所:FOLKIE
(札幌市中央区南6条西3丁目 ニューオリンピアビル 8F)
OPEN 17:30
START 18:00
料金 2500円(1ドリンク付)
出演:Eri with 谷藤勝彦&みゃん@ スペシャル前座:辻正仁
Eriフライアー





2.24(木)
​【第13回 メガネの日】
場所:FOLKIE
(札幌市中央区南6条西3丁目ニューオリンピアビル8F) 
OPEN 19:30 
START 20:00  
料金:2500円(1ドリンク・1メガネ付き)
出演:兼田和明 / 辻正仁 ほか





3.5(土)  
​【東日本大震災チャリティーライブ・500L Vol.34】
 円山夜想(札幌市中央区南1条西24丁目 ヴィンテージビル地下)
​※詳細未定




3.17(木)
【ブッキングライブ】
場所:フライアーパーク
(札幌市豊平区平岸4条7丁目)
OPEN 20:00
START 20:30
料金:2000円(1ドリンク付き)
出演:小川ノブユキ / 久保田広司 / 辻正仁




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