fc2ブログ

海月屋・辻正仁『短めでお願いします』

※各記事下の「拍手」クリックで辻へのメッセージを書き込むことができます(非公開)                                       

求めるもので評価は変わる

さて、お気に入りの漫画、「BLUE GIANT」なんだけど、今月号で最終回と書いてあったので、何事かと…

なんちゅうか、あまりにも中途半端な終わり方になるので。
確かに以前に話題にしたような大きな出来事があって、それは一応落ち着いたんだけどさ、ここで終わったら「主人公が一つの壁を越えて、次のステップにさぁ進むぞ!」ってところで終わりなんですよ。
まるで人気のない漫画がキレのいいところで無理やり打ち切りみたいな。

この漫画、相当な人気らしいしさ、打ち切りはまずあり得ない。さらに、作者の人って以前の作品も好きで読んでたんだが、途中で話がどうにも展開できなくなるようなタイプではないと思ったのね。非常に丹念に物語も人物も描ける人だから好きなワケで。

これはもう、病気療養とかそういうアレか? それとも当初からここまでのつもりで連載してたのか?

っていう2択だろうと思い読み進める。

さすがに最後にグッとくる場面はあったが、その前が本当に淡々と進んでまして、もう読みながら「これで終わりは変だろう」と…

そしたらですね、主人公はこれから日本を離れるんですが、そこで一応最終回で、次回からタイトルがちょっと変わって引き続き物語は進むらしい。
一安心

タイトルが「BLUE GIANT なんとか(忘れた)」になるそうです。
昔「イナズマン」という特撮の番組があって、テコ入れで「イナズマン フラッシュ」になったんだけど、そんな感じ。

あと、「ドラゴンボール」が「ドラゴンボールZ」になったとかね。

で、引っかかるのが、なんでわざわざタイトルを変えるのかと…。
詳しい説明は避けるが、この漫画は主人公が「BLUE GIANT」と呼ばれるようなジャズプレイヤーになっていく物語なので、そのままで全然支障はないはずなのですよ。

だからコレ、もしかしたらこのタイトル自体に権利上の問題が発生してるとか、タイトル変えた方が長々と同じタイトルで連載しているよりも、著作権上とか税制上、作者や出版社に都合がいいとかかなと…。あとは、作者が気分を変えたいだけかもしらんが。

とか色々考えて見る。考えてもわからないけど。
とにかく、まだ物語が続くので、とても嬉しい。




そして、なんか予想以上の大ヒットとなっている『シンゴジラ』だが、先日ひょんなことから奢っていただく形で観てきた。

もともと最初の『ゴジラ』が登場した時は「怪獣映画」なんてジャンルはなかったし(ってか「ゴジラ」が登場しなければ「怪獣映画」というジャンルは生まれなかっただろう)、核の問題を題材にした社会派の映画、または恐怖映画だったんだよね。大雑把に言えば。

新作はそういう意味での映画として単純に面白かったし、見ごたえもあったと思う。

あ、ネタバレになるところもあると思うので、まだ観てなくてこれから観るつもりなら、このあとは読まないでね。



いろんなレビューで紹介されている通り、明らかに大震災と原発にまつわるアレコレが背景にある。
ゴジラが都市を破壊していく光景を、上空から俯瞰で描く映像は、ニュースで見た津波が街を破壊していく様を空から撮っている映像を意識しているよね。
そこは、ちょっと当事者のみなさんにとってどうなんだろう? というのが少し気になったのだが、表現する側って、そこを描かずにいられないみたいな心理もあると思うので、自分としては理解もできるしOKだ。

あとは、なんちゅうか、自然災害とか放射能の脅威とかの「どうにもできないような事象に対して、政府がどう対応していくか?」ってところに焦点が絞られていて、非常に抑制が効いていて好きだった。
コレ、子供の頃に見ても退屈かもね。

なんせ、ゴジラが出てきて街を破壊するのは、単に移動してるだけなんだよね。何したいのかさっぱりわからん。なんせ人知を越えた存在なので、人間にはわからないもんだから、そのように描くのが正解だと思う。
最初から最後まで、「出てきて移動してたら街が壊れた」っていう。台風や地震みたいな感じだよね。

で、人間側に攻撃されたから反撃してるだけなのさ。

そんでね、いろいろなことをセリフやなんかでは極力解説しない。その目的みたいなものとか。
ゴジラがどうやって生まれたのかは紹介されるけど。

あとは、もうシーンだけ色々提示しておいて「あとは各々で解釈してください」みたいな感じ。

そういうの好みなんだよね。

なんか、そういうのって監督の庵野って方の特色らしいんだけど、彼の作品てみてないのでよくわからん。『エヴァンゲリオン』って人気出た頃にTVの深夜に放送していて、とりあえず話題になってたから何回か見たんだけど、なんちゅうか「メンドクサイな」と思って見るきしなかったし、まぁ、アレは好みじゃなかったのね。


えと、それで観終わってから色んなネットでの感想の書き込み眺めてたんだけどさ。

本当に賛否両論。

それも興味深いのは「ゴジラシリーズが好きで見た人」の中にも「最高傑作」という意見と「こんなのゴジラじゃない」って人がいて、「庵野作品として見た人」の中にも「さすがだ」って人もいれば「こんなモン作ってないで早くエヴァンゲリオンの続きを作れ」って人もいる。もちろん「映画好き」として観てるひとにも賛否両論ある。
多分、話題になってるからって理由で見た人の中にも「面白かった」って人と「なんだかよくわからなかった」って人がいると思う。
あとはアレだね、この作品はどう考えても日本人とか日本に住んでいる方じゃないと理解できない部分はあると思う。

例えばだ「インデペンデンスデイ」というB級映画が、予想外に空前の大ヒットをして、日本でもそうとう動員したけど、アレはまぁ単純な娯楽作品なんで日本人も面白かっただろうが(オレは単純によくできたマンガだな〜と思った)、あれも結局、一番感動できるのはアメリカ人なんだよね。「アメリカの独立記念日」ってのがミソなんだもの。

そういう意味で、日本に居て震災の当事者ならずとも同じ国にいて、政府の対応やらなんやらの諸々を日常的に肌で感じてないと、ちょっと難しいだろうなとは思う。

とにかく、興味深かったのは「ゴジラシリーズファン」と単に言っても「シリーズの何を魅力と思っているか」、庵野ファンなら「庵野作品のどこに惚れたのか」。映画好きなら「どんな映画をがすきなのか」によって、つまり「何を求めて見に来たのか」によって賛否が大きく変わる作品なんだなってところ。

だからまぁ、作品として確固たるものが出来上がっているだろうなと。だから皆さん、求めていたものと違っても、色々と何が気に入らないか語りたくなるし、好きなら好きで褒めたくなるんだろうなと。そういう力を持った作品なんだろうね。

まぁ、ちょっとあまりにも的外れと思える感想もあったけどさ。
役柄や演技を批判するのはまぁいいとして、だからって役者の人格批判するのはおかしな話だし、「早口でみんな演技が単調で個性がない」とかってのもね。アレは実際に政府内での会議とか取材した結果で早口でのやり取りになってるだろうし、皆さん非常にレベルの高い役者さんが出演していて、オレは観る前にキャスティング見て「こんなにいい役者ばっかり大勢出すのって、キャスティングで客を呼びたいんだろうな」って思ってたけど、「この人たちじゃないと、この映画保たないな」ってのがわかった。

要するに、政府の人間が非常事態にどうするかを会議してるんですよ。だから単調なんです。さらに言えば、一人一人の個性を際立たせる意味がない。だって、国がどうするかって話をしてる時に、自分の個性なんて出さんでしょう? そういうのを抑えて公の立場としての言動が求められてるんだから。
なので、役者さんたちはみんなそういう芝居してたと思う。
多分、其々でちゃんと人物の人間性とか性格とか個性とかを作っておいて、それを抑制させる演技だったと思えたのよ。
なので、それぞれに存在感あるし、淡々としたやり取りの中に、滲み出る人物像はあったと感じた。

だから、なんだろ? わかりやすい映画ではないのかもね。

そんなわけで役者さんはみなさん素晴らしかったと思う。
で、石原さとみさんて、TV見なくなったもんだから、存在は知ってたけど、芝居見るの始めただったんだけど、いい役者さんだなと思ったのよ。

この作品の中で唯一「わかりやすい映画的キャラクター」で、それもあまりにも現実離れしてるというのではなく、それなりに抑えてるけど「こんな人いないでしょ」的な香りを漂わせている。
これはキャスティングの妙でもあるし、本人のキャラクターに対する理解力もあると思う。
そういう存在がバランス取れてていいな〜と。鑑賞に耐えうる作品として「早口の個性を制御した会議が続く単調さ」をほどよくフィクション側に向けて壊していく存在になっている。
これ、多分、この作品の中で難しい役どころだったと思うんだよね。

彼女の役は、設定から察するに日系で多分クォーター。そしてアメリカ政府の関係者で名門家系の2世。将来大統領の椅子を狙っている野心家。
なので、日本語喋ってても横文字の発音だけアメリカ人って演技。
英語がヘタなのか上手いのかは知らないけど、早口で日本語で喋ってて横文字だけ英語発音てセリフを喋るのも、演技としてすごい技術だと思う。

で、人によっては「なんだこの女気に入らねぇ」って思われるような役柄なのね。それを書き込み見ると「石原さとみが鼻に付く」みたいな感想って、なんかオレは映画の楽しみ方としてイケてないなと思う。

気になったとすれば、ずっとアメリカに暮らしている人の設定にしては、逆に「日本語が上手すぎる」ってとこと、「果たして日系人が大統領を狙っているというのが、アメリカに於いてリアリティがあるのか?」だったんだけど、そこはもう唯一の「わかりやすい映画的キャラクター」なので許容範囲かと。

そんなわけで、書き込みを参考にして観るかどうか考えてる方は、一個の書き込みだけアテにしないで「人それぞれで評価がバラバラ」ということを踏まえておくといいですよ。
あと、いろんなシーンの解釈をされてる書き込みもあるけど、「どう解釈するかも、いちいち解釈をするべきかどうかも自分で決めるようにできてる映画」だと思って観た方がたのしめるよきっと。















スポンサーサイト



未分類 |
| HOME |