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海月屋・辻正仁『短めでお願いします』

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ルールールルル~(「夜明けのスキャット」by由紀さおり)

今年から日本プロ野球では、ゲームの時間短縮とスムーズな進行を目指して、時間制限に関するルールの行使を徹底するそうだ。
それで、やたらと投手の「15秒ルール」というやつが騒がれている。簡単にいうと『投手がボールを手にしてから次の投球までに15秒以上経過すると、自動的に”ボール”が宣告される」というもの。
要するに、「2ストライク3ボール」のカウントで、キャッチャーとのサインの交換なんかで15秒間投手が球を持ったままだと「フォアボール」となり、バッターは一塁に行くワケだ。~ちなみに、ランナーが出ている場合には話は違うらしい~


                                              つまらん


アレはそういうゲームだったのか?
少なくとも僕は、野球を観ている時、選手の身体を動かしている様子を見るのも楽しいが、同時に勝負の”かけひき”というやつも興味深く観ているぞ。つまり、大事な場面でバッテリーが慎重にサイン交換しているのとか、あるいは慎重にサイン交換していると見せかけて、打つ気満々のバッターをじらしたり、タイミングを外したりというやつだ。
それはそれでかなり緊迫した勝負であり、決して遅延行為にはあたらないと思う。
確かに、物事には「程度」というものがあるので、多少の時間制限は設けたほうがいいとは思うが、15秒は早すぎると思うのだ。個人的には1分あっても良いと思う。いや、野球はチームプレイなんで個人の気持ちは控えるけど。ってか野球自体、小学校卒業してからプレイしてないけど。

物凄い大事な試合の物凄い大事な場面で60秒間フィールド全体が動きを止めて、次なる一球を待つなんてことがあったら、5年後の「NHKスペシャル」で『ダルビッシュvs金本~緊迫の60秒~』なんていうドキュメントが放送されるくらいの醍醐味が生まれると思うのだ。その動かないかけひきに(ところで僕は何の試合を夢見ているのでしょう?)。
とにかく、それでこその「一球入魂」だと思うのだ。

大体だ、そんなに早く終わらせようとするくらいなら、試合始めなきゃいいじゃん。

始まった瞬間からさっさと終わらすためのルールが発動する考えがよくわからん。それでも試合するなら、いっその事9回とかやんないで「1回の表裏のみ、延長戦ナシ」とか、「攻撃と守備が前半後半で入れ替わる45分ハーフのタイムアップ制にする」とかすれば間違いなく”試合時間は短縮し(なおかつ、後者は終了時間がおおよそ計算できる)、合理的に進行する”という、時間ルールの目的と同じ事をさらに確実に実践できるでしょうが。もしくは、「ピッチングマシーンで直球ど真ん中だけを投げて、それを打つ。3アウトもしくは5点取ったらチェンジ」とか、いくらでも考え付く。

それだともはや野球でなくなると思うだろうが、それと同じくらい、”緊迫したかけひきが行われる静止状態”を合理的に削減することは野球を野球ではないもにしていると僕には思える。もともとボールを投げて、ソレを棒で打って、9人の人間が原っぱでワラワラと動き回るゲームをやろうっていう発想をすること自体、合理性なんてないのだ。そんなことを考えた人の隣に合理的なやつがいたら「なんで、そんなことしなきゃなんないの?」と聞くと思うよ。

規則性と合理性とは別物である。それを混ぜて考えるから、勝負の醍醐味が半減するようなつまらんルールが出来上がるんじゃないのか? 勝負にはその場の流れというものがある。そこは流れにまかせればいい。ルールとは勝負が双方そして観ている者にとって勝負として成立する規則を定めるだけでいいんじゃない?「程度」さえわきまえるようにしておけば。

どうせ時間ルール作るなら、タイムも含め一試合での各チームの「考えるための持ち時間」みたいなものを作って、その中でならいくらでも時間を使いなさいってことにすればいいのだ。将棋みたいに。で、持ち時間を越えた時点で相手チームに自動的に1点入るとかね。
そうすると、同点で迎えた9回裏、2アウト、ランナー無しという場面でサイン交換に手間取ったがために持ち時間オーバーでサヨナラ負けなんていう、劇的なんだかショボイんだか分からないようなドラマが生まれたりもするハズだ。
いちいち15秒でワンボールなんていうチマチマしたルールよりも、よっぽど勝負の醍醐味を味わえるんじゃないか? 負けた側がこれくらい理不尽な気持ちになるルールのほうがよっぽど面白い。

感情やその日の体調で左右される人間が大勢参加して動いたり考えたりする”ゲーム”なんだから、合理性だの円滑な進行だの言わずに、人間を楽しめるプロスポーツであってほしい。

ところで例のルールは、世界的には12秒がスタンダードなんだそうだ。情緒がないな。

それでまた、これだけ長々とかいている自分自身がここ数年、野球の試合をロクに観ていないというのがまた野球の醍醐味だ。
僕は、スポーツニュースか翌日の新聞などで情報を得ている。時間短縮のために(笑)。



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