海月屋・辻の日々

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あのね、わかんない奴もいるさって(「蕎麦屋」by 中島みゆき)


そんなに大きくない蕎麦屋にて蕎麦を食す。

客は他にもう一組先客がいるだけであった。

その先客の二人、どちらも張りのあるいい声をしていらっしゃって、聞く気がなくても会話が全て店内に響き渡っておる。

片方(A)はおそらく60歳くらいだと思う。もうすぐ定年とかいう話をしていた。
そしてもう一人(B)は70代の中頃だろうか。

話の感じからすると、この二人はかつて同じ会社で仕事をしていたか、あるいは同業の先輩後輩の間柄の模様で、Bはすでに引退しているのだが、「なんとかの会長」だとか「相談役」だとかなんとかをやっているらしい。
Aの方もそれなりに偉い方のようである。
そして何処と無く会話の端々から、両者とも羽振りのよい生活をしているようだ。

仕事の話やら、住まいの話やらが入り乱れていたのが耳に入ってきていたのだけれど、どうも話が噛み合っているんだかいないんだかわからない感じで会話が進行している模様。

蕎麦をすすりながらちょっと彼らの会話に注意を傾けてみる。

話題は二人の共通の知人であるCのことになっていた。なにかAとかつては仕事上の意見の食い違いなどもあり、感情的にもCの人間性だか道徳性だかを気に入っていなかったらしい。
でもちょっとしたきっかけがあって、AはCの人間性を見直し、共感または尊敬できるような出来事があったらしく、Cに対してこれまで誤解があったかも知れないというような事を、先輩であるBに伝えたいようだ。
ここから会話を記憶に従って書き記してみよう。

A「で、ですねその時にCさんの話を聞いて、ワタシ感心したんですよ」
B「う〜ん」
A「もともとワタシのCさんの印象っていうのが、Cさんはベンツに乗っていて…」
B「ポルシェだよ」
A「いえ、ベンツです。その前はそうです、ポルシェでした」
B「ポルシェに乗ってたんだよ、ポルシェ。あれはディーラーからかなりサービス受けたんだ」
A「そうですね。確かAさんの同じディーラーでしたよね?(ここで、先輩に気を使ってか、それた話に乗っかる)」
B「Cはポルシェの前はなんだったかなぁ」
A「いや、そうですねわからないけど、今はベンツに乗ってるんです。それで…」
B「ベンツなんか乗ってたら駐車場代金も高くつくだろう」
A「マンションのですか? いや、同じでしょう。 それで、ベンツに乗ってるんですけどね…」
B「いや、高級車になると違うぞ。オレが前に、あの…なんだスェーデンの…ベンツじゃなくて…」
A「ボルボですか?」
B「そうだボルボだ。その後でベンツだ。」
A「はい。私は今度ボルボにしようかと… それで、あの、Cさんがですね、以前は…」
B「この前、ウチの駐車場でな、クラウン乗ってる人がミラー壊れてたんだ」
A「…はい…」
B「それで管理人と大げんかになって…。管理人っていうか、去年の暮れにウチのマンションの管理してる会社でちょっとミスがあって」
A「ええ」
B「君のところは除雪はどうなってるんだ?」
A「いや、もうウチは降ったらすぐ業者が来てるみたいですよ」
B「ウチもそうなんが、玄関の階段のところが凍るんだ。ああいうのはロードヒーティングみたいなものがないとダメだな」
A「はい、歩くのがちょっと怖いですよね」
B「もう、歩道でもなんでも凍ってひどいだろう。若い時はいいんだ。もう年寄りになってくるとおっかなびっくり歩かなきゃならん。」
A「そうですね…。で、ですね。Cさんが…」
B「もう大きな道くらいは市が助成してロードヒーティングにしないと」
A「以前一回やめちゃいましたよね」
B「この前、流氷のところ走るあの、なんたっけ? 船の…」
A「はぁ...砕氷船ですか?」
B「網走かアレは? 根室か? 釧路の方でな…ちょっとトイレ行ってくるわ」

と、ここでB氏がトイレに立ち、店内がしーんと静まる。
そしてしばらくすると
「ハァ〜〜〜〜〜」
というAさんの深いため息の音が。

蕎麦をむせたぞ。

いやいや、どうもBさんは口に発したワードから頭の中で連想した事を次々に声に出し、そのワードでまた次の連想を引き起こしている模様で、Cさんの人間性の話は、「彼がベンツに乗っている」ところから一向に進まない。大渋滞(笑)。

本当は、紹介した会話もまだいくつもの分岐点があるんだが、とにかく先輩たるB氏は自分のペースで連想ゲームを繰り返し、後輩のA氏はBさんに伝えたい話があるにも関わらず、先輩を気遣って脱線した話に乗って、そのあとで軌道修正を試みるのだが、軌道はひたすらにそれていく。

どうも聞き耳を立てる前に会話が噛み合ってなさそうな気配だったのは、コレだろう。もうオレが来る前からずっと。

Bさんが戻って来るあたりでオレは店を出て来たんだけどね、Aさんは果たしてCさんの事を伝えられたであろうか?
伝えたとしても、Bさんは絶対にちゃんと覚えてないと思うぞ。










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何を見つけたんだっけ?



ようやく春の日差しが訪れたかと思うと、また積雪。そしてその雪が溶けて道がグチャグチャ…。

毎年の事ではあるが、慣れない。というか、うっとおしくて煩わしい。
「一回溶けてなくなったら、スムーズに春になれよ」と毎年思わずにいられない。

しかしだ。

今日、ふと道端で熱心にグチャグチャに溶けてシャーベット状になった雪を踏みつけたり、水たまりに落とし込んで溶けた水が流れるのを堰き止めて遊んでいる男の子を見かけたのね。

一人で、ほとんど無我の境地に達してるんではないかというくらい黙々と、粛々と足で雪を移動させ、流れをじっと見つめている(のをじっと見つめている自分に気がついて、「この御時世、側から見てるとかなり怪しいオヤジだな」と思い、慌てて立ち去った)。

おそらく彼は、この状況にうっとおしさを感じてはいない。多少歩きにくいとは思ってたりするかも知れないが、きっと彼の中でこのタイミングにしか見られない新鮮な発見があって、当初の煩わしさなんて消え去っているだろう。

多分、自分も彼の年齢の頃にはこんな季節も面白かった筈だ。
というか、アレは自分が子供の頃にやってたことそのまんまだ。
学校の帰りとかに家まで5分くらいの道のりだったにも関わらず、車の轍に溜まった水に雪を蹴り込んで溶けてゆく様を眺めてたりした。
道端で排水口に流れ込む小川と化した水の流れが描き出し、刻々と変化していく水の模様を飽きもせずに見つめて、帰り道が30分以上になったもんだ。

なのにいつから、なぜこの状況に煩わしさを感じるようになったのだろう?

あの情景に飽きたというのでもないと思う。

今でも夏などには川原まで出かけて川の流れを眺めている事だってあるのだ。
ただ、冬はダメだ。寒いとか歩きにくいとかの事情の方が勝ってしまう。

あの男の子はきっとオレがもう見つけられなくなってしまったものを、煩わしさを忘れて夢中になれる何かを感じているのだろうな。驚きや喜びや発見があるんだろうな。
そういう感受性はいつ、どこで、どうやって無くしていくのだろう?

まぁ、おっさんが一人でいつまでも水の流れに雪を蹴り込んでたら通報されるんだろうけどね(笑)。
やりたくてもそういう世間の目は気になるだろうな。
そういう意味では世間というのが雪解けよりも煩わしいかもしれない(笑)。

願わくば自分の中に、いにしえの子供時代に見つけたものが密かに息づいていますように。

少なくとも、この煩わしい時期もひとつの大切な時間である事は発見できたので良しとしよう。
















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嬉しい驚き



チャック・ベリーのニューアルバムが発表される事になったのは先日お伝えしましたが…

発売は6月なんだけど、それに先駆けて所謂「リードトラック」というものが発表された。一昔前の「先行シングル」みたいなやつね。

早速聴いてみたんだが、びっくらこきました。

紛れもなくチャック・ベリー

カッチョイイ〜〜〜〜

じっとして聴いてられん。身体が揺れる。

もう、今すぐにでもストーンズがカバーするんじゃないかってな。
やっぱりロックンロールってのはオールディーズでもなんでもないよ。全然現代に有効なパワーがあるってのが証明されたよ。最近のスタジオ環境であればあの3コードのフォーマットがまったく古臭くない。
コレね、多分やってる方に「この懐かしのスタイル」みたいなノスタルジーとかないからなんだと思うんだよね。

コレを例えば20代そこそこの若いバンドが「ちょっと50年代の古いスタイルをやってみようか」とか「あの風味で」なんてことでやっても、こんなフレッシュなものにはならんのだろうなと思う。

90歳だろうと往年のスタイルだろうと「今をやる!」って事でやればこういうモンになるんだな。
っていうね、この人また指標を建てたんだよねきっと。返す返すも生きていて欲しかった。改めてそこだけ残念だ。

いや、前にも書いたけどさ
中身まったく期待してなかったのよ。もう新作をこの人がこの歳で出す事に意義があると思ってたから。
で、数年前のライブ映像とか観ても、もうグッダグダで本人はもう何やってんだか分からないようなアレだったから。
ステージ上でキーボードの人に、自分の曲の出だしの音とか聞いてるんだもん。
でもって、歌もなんかステージ袖から出てきたお付きの女性見たいのがほぼ代わりに歌っちゃってるんだもん。

とてもこんなご機嫌な音を出してくれるとは思ってなかった。

スタジオのマジックかもしらんが、でも先に述べた通り「今をやる」ってのがもうイキイキしてるんだもん。そこはちゃんと聴き取りましたよ。

アルバム全部、早く聴きたいな。


Chuck.jpg





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お知り合いで、ワタクシと連絡を取りたい方へのお知らせ(数年前の連絡先データが確認できない故)



そう言えばもう4、5年くらい前になるのかな?

骨折後のゴタゴタの中で立て続けに急遽携帯をキャリアごと変更する事になって、連絡先などのデータ移行がちょっと間に合わなかった部分がありまして。

諸々の業務だとか、その時点でやり取りが日常的に行われていた方々のを優先的にやって、当時あまりやり取りしていなかった方などは追々連絡先のデータを移行していけば良いと思ってたんだが、いきなり以前使っていた機器が壊れまして。

キャリア変更したもんだから修復もできずに、データが取り出せないってか、電源すら入らない状態になってしまった。

それからずっと放置していたんだけどさ。

ちょっと読み返したいメールのやり取りがあったので確認しようとして、そういえば使えなくなったんだって思い出した。

ん〜、久しぶりに「元気?」などとメールすることもできない方もいたりして。
で、もしかしたら、こちらに連絡したくてもできなくなっている方もいるかも知れないなと。

電話番号も変わっちゃってるしね。

中には、フェィスブックなどで再開してやり取りできる人もいるんだが、基本的に自分から着信拒否した方はいないので、もし僕と連絡を取りたいのに手段をなくしている方がいましたら、このブログの「拍手」ってやつをクリックするとメッセージ入れられるので、そこにお名前と連絡先など入れていただければと思います。
メッセージいただくだけだと、送信先がわからないようになってますので、何卒。

もしくは、Facebookで探して、メッセージいただければ。

もしそういう方がいればね。





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今日のニュースから



チャック・ベリーのニューアルバムはリリースされるとの発表があった。
ん〜、とりあえず聴きたかったので良かったなとは思うし、多分何もないで発表されるよりも売れたりするんだろう。なんか切ない話だけど。

でもね〜、やっぱり元気でいてくれた上で、ロックンロールを創り上げた人の90歳の作品を聴いて、もう聴いてるだけで価値があるものだと感激しながら「ひでぇな、こりゃ。でも元気だなこのジジィ」みたいな感想を持ちたかったな。

ちょっとやっぱり、生きてる90歳のパイオニアが発表するのと、パイオニアの没後に出された遺作として聴くのでは意味合いが違っちゃうからね…。

できるだけノスタルジックにではなく、「あのジジィ」の新作として聴くようにがんばろう。








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